親知らずの抜歯に対する不安は、多くの人が抱える悩みです。特に、痛みや治療中の音は抜歯手術を避けたくなる理由かもしれません。
しかし、現代の歯科医療では、多くの麻酔法が用意されており、手術時の不快感や恐怖を大幅に軽減することができるようになりました。
今回は、親知らずの抜歯に伴う麻酔の基礎知識から、麻酔の方法の違い、そして術後の痛みを最小限に抑える工夫について、詳しく解説します。
1. 親知らず抜歯の怖さを軽減させる麻酔の基礎知識
歯科治療で使われる麻酔には、主に局所麻酔、笑気麻酔、静脈内鎮静法、全身麻酔の4種類があります。それぞれの麻酔方法は異なる特徴を持ち、患者さんの不安や痛みを軽減するために役立ちます。
①局所麻酔
局所麻酔は歯医者で最も使われることの多い麻酔法です。痛みが出そうな治療の時には前もって行われます。抜歯部分に直接麻酔薬を注射し、痛みを感じにくくします。手術中は意識が保たれます。
➁笑気麻酔
亜酸化窒素を吸入することで、リラックス感を得られます。恐怖心を和らげる効果があります。これに局所麻酔を併用して治療を行います。
➂静脈内鎮静法
静脈から点滴で麻酔薬を注入し、ウトウト眠っているような感覚とリラックスした状態で治療を受けられる方法です。意識はありますが、強い不安や緊張を感じにくくなり、歯科治療に強い不安を感じる方におすすめです。
④全身麻酔
意識を完全に無くした状態で、処置を行います。日帰りで行う施設もあれば、数日間の入院が必要なことがあります。
抜歯についてとても恐怖心をお持ちの方は、上記2)〜4)の各種麻酔を併用することも選択肢の一つです。
2. 親知らず抜歯時の静脈内鎮静法と全身麻酔の違い
特に抜歯に対して強い不安がある場合や、難易度の高い抜歯処置が必要な場合には、局所麻酔と静脈内鎮静法や全身麻酔を併用することがいいでしょう。それぞれの麻酔方法にはそれぞれの特徴があります。
静脈内鎮静法の特徴
静脈内鎮静法は、患者さんがリラックスし、眠っているような状態で抜歯を受けることを可能にします。この方法では意識があり、自分の意思で体を動かせる状態にありますが、治療の詳細な記憶は残りにくく、治療の恐怖心を和らげることに繋がります。一般的に、抜歯の手順が比較的簡単で、患者さんが強い不安を抱えている場合に適しています。
~眠れる森の歯科~Dr.Lデンタルクリニック渋谷神泉の「無痛治療」では、この静脈内鎮静を使用します。
全身麻酔では丸1日入院する場合や、術後のお休みいただく時間が長くなりますが、静脈内鎮静を用いた無痛治療では、術後10分~1時間程度でお帰りいただけます。
治療時間も最大8時間程度を確保できるため、一度に複数の治療箇所を進めることも可能です。ただ、静脈内鎮静中に大きく動いてしまう方には、全身麻酔が適していますが、ほとんどの方は静脈内鎮静で対応が可能です。
全身麻酔の特徴
患者さんを一時的に完全に無意識状態にする麻酔方法です。このため、手術中の痛み、苦痛を全く感じることがなく、術後に目覚めるまでの間、何が行われていたのかの記憶が残りません。全身麻酔は親知らずが埋まっている位置が深い場合や、骨を削る必要がある場合など、難易度の高い抜歯に適しています。また、患者さんが極度の恐怖感を持っている場合や、複数本の親知らずを一度に抜歯する必要がある場合にも選択されます。ただし、全身麻酔はリスクも伴うため、事前の健康診断が必要です。
どちらを選ぶべきかは、患者さん自身の健康状態、心理状態、および抜歯の難易度を考慮し、歯科医師との相談により決定されます。
3. 親知らず抜歯の痛みを最小限に抑えるためにできること
親知らず抜歯後の痛みをできるだけ軽減するためには、いくつかの対策が有効です。以下の方法を実践することで、術後の痛みを和らげることができます。
①冷却
親知らずを抜歯した後をはじめ、外科処置の後は腫れや痛みが生じることがあります。術後直ちに頬を冷やすことは、これらの症状を和らげる効果があります。この時、冷却パックや氷のうを使用し、患部を冷やしたくなりますが、濡れたタオルで熱を取る程度がいいでしょう。冷やしすぎると治りにくいと言われています。
➁痛み止めの使用
抜歯後、歯科医師から処方される鎮痛剤を適切に使用することで、痛みを効果的にコントロールできます。処方された薬は、指示通りに服用し、痛みが強くなる前に服用することで、痛みを軽減できます。市販の鎮痛剤を使用する場合も、必ず歯科医師に相談しましょう。
③お薬の静脈内投与の使用(点滴から血管内に直接入れるお薬)
~眠れる森の歯科~Dr.Lデンタルクリニック渋谷神泉では、眠っているような感覚になる静脈内鎮静と併用して治療を行う際に、鎮痛剤や抗生剤、ビタミン剤の点滴薬も豊富にご用意しております。
静脈内投与では、薬が直接血液中に入り、 例えば100mgの薬を静脈内に投与した場合、100mg全量が血液中に入って全身に運ばれます。 一方、経口投与の場合は、100mgの薬を投与しても、100mg全量が全身に運ばれるわけではありません。経口投与された薬は全身に届く前に肝臓を通過し、その過程で薬の一部が代謝され、効果を引き起こす有効成分が効力を失います。 これを初回通過効果と言います。
④適切な口腔ケア
手術後の口腔内は非常に敏感です。歯磨きの際は、抜歯を行った箇所を避けるように優しくブラッシングしてください。また、歯科医師から抗生物質が処方されている場合、それを忘れずに服用し、術後感染を予防しましょう。
⑤柔らかい食品
柔らかい食品での食事を心がけることが大切です。例えば、スープ、ヨーグルト、ゼリーなどが適しています。硬い食べ物や噛む必要のある食品は術後しばらく控えましょう。
~眠れる森の歯科~Dr.Lデンタルクリニック渋谷神泉では神経修復や治癒促進に不可欠なビタミンなどを点滴で補うことも可能です。
⑥安静に過ごす
抜歯後は、できるだけ安静に過ごし、激しい運動や体に負担をかける行動は控えましょう。運動や身体の動きが激しいと、血行が促進されて出血や痛みが強まることがあります。
親知らずの抜歯は誰にとっても不安を伴うものですが、適切な麻酔を利用し、術後のケアをしっかり行うことで、痛みを最小限に抑え、安心して治療を受けることが可能です。麻酔の種類や痛みを抑える方法について理解しておくことで、不安を軽減し、スムーズに治療を進めることができるでしょう。
渋谷駅周辺で親知らずの抜歯や麻酔に関してご不安や疑問がある場合は、~眠れる森の歯科~ Dr.Lデンタルクリニック渋谷神泉 にお気軽にご相談ください。
監修:~眠れる森の歯科~Dr.Lデンタルクリニック渋谷神泉
院長 鈴木麟太郎 Lintaro Suzuki
【学会・所属団体】
日本口腔インプラント学会
日本審美歯科学会
日本歯科麻酔科学会
点滴療法研究会
高濃度ビタミンC認定医