親知らずの抜歯は多くの方にとって不安を感じる治療かもしれません。「本当に抜歯が必要なのか」「痛みはどの程度なのか」と心配になることもあるでしょう。親知らずの抜歯には、抜くべき理由やタイミング、方法、リスク、そして痛みを和らげるための工夫があります。
今回は、親知らずの抜歯が必要な理由やタイミング、具体的な抜歯方法、リスクについて詳しく解説します。これから親知らずの抜歯を考えている方は、ぜひ参考にしてください。
1. 親知らずの抜歯は必要？その理由とタイミング
親知らずは、奥歯のさらに後ろに生える第三大臼歯で、18〜25歳ごろに生え始めることが多い歯です。ただし、生えるスペースが足りなかったり、歯並びに悪影響を及ぼす場合があります。
親知らずを抜歯する主な理由とタイミングについて以下に説明します。
＜親知らずを抜歯する主な理由＞
①歯並びの乱れに繋がる可能性
親知らずが斜めや横向きに生えることで、隣の歯を押したり、歯並びが乱れたりする原因になります。
➁炎症や痛みの予防
「智歯周囲炎」などの炎症や、隣の歯への圧迫による痛みを防ぐために抜歯が必要になることがあります。
➂むし歯や歯周病のリスクがある
奥に位置するため磨きにくく、むし歯や歯茎の炎症が起きやすい傾向があります。
④矯正治療への影響
矯正治療を受けている場合、親知らずが矯正後の歯並びに影響を与える可能性があります。
＜抜歯のタイミング＞
若いうち（20-30代頃）の抜歯が一般的です。
完全に生える前、炎症が起きる前の早期治療が、手術の負担を軽減し、術後の回復も早いとされています。
2. 親知らずの抜歯方法
親知らずの抜歯方法は、親知らずの生え方によって異なります。歯科医師は、親知らずの生え方や位置、患者さんの健康状態に基づいて治療法を決定します。
①通常の抜歯
親知らずが完全に生えており、通常の状態であれば、局所麻酔を行い、簡単に抜歯することができます。この方法は、最も一般的な抜歯方法で、治療後の回復が比較的早い傾向があります。
➁切開しての抜歯
親知らずが完全に生えていない、または埋まっている場合、歯茎を切開して親知らずの抜歯を行う必要があります。この方法では、局所麻酔を使い、歯茎を切開して歯を取り出します。場合によっては、歯を分割して小さな部分ごとに取り除くことがあります。
抜歯後のケアも重要です。
抜歯後は、抜歯した部分でガーゼを噛んで止血します。必要に応じて痛み止めや抗生物質が処方されます。
抜歯後の感染を防ぐため、お口は清潔に管理しましょう。
3. 親知らず抜歯のリスクと知っておきたいポイント
親知らずの抜歯にもいくつかのリスクや注意点が存在します。
①術後感染
親知らずの抜歯後、傷口から細菌が侵入し、感染症を引き起こすことがあります。感染症を防ぐために、抜歯後の口腔ケアを適切に行い、処方された薬を服用することが大切です。
➁神経の損傷
親知らずが下顎の神経に近い場合、神経が損傷するリスクがあります。この場合、顎先と下唇にしびれが続くことがあります。多くの場合、時間とともに回復しますが永久的な損傷が残る可能性もあります。事前に歯科医師とリスクを確認しておきましょう。
➂出血
抜歯後に出血が続くことがありますが、通常は時間とともに止まります。出血が止まらない場合は、すぐに歯科医院に連絡して指示を仰ぐことが大切です。
④腫れ
抜歯後の腫れは一般的で、特に抜歯が難しい場合や切開を伴った場合に強く現れる可能性があります。腫れを軽減するためには、軽めに冷やすことが効果的です。
4. 親知らず抜歯中の痛みを軽減する方法
親知らずの抜歯は、痛みや不安を伴うイメージが強いでしょう。
恐怖心と痛みを最小限に抑えるために、いくつかの麻酔法があります。ここでは、代表的なものを紹介します。
①局所麻酔
通常、抜歯中の痛みを抑えるために、局所麻酔を使用します。麻酔は歯茎や周囲の神経を一時的に麻痺させるため、切開や抜歯の処置中に痛みを感じにくくなります。麻酔の効きが弱い時は早めに歯科医師に伝えましょう。
➁笑気麻酔
治療への恐怖感が強い方には、笑気麻酔を併用することもあります。精神的な緊張を和らげるため、亜酸化窒素ガスを鼻から吸入します。特に、歯科恐怖症の方や緊張しやすい方におすすめの麻酔法です。
➂静脈内鎮静法
恐怖心が強い場合には、静脈内鎮静法が用いられることがあります。点滴で鎮静剤を投与することで、眠ったようなリラックスした状態で治療が行われます。この方法は心理的な負担軽減の可能性があることが特徴です。
④点滴薬の併用
～眠れる森の歯科～Dr.Lデンタルクリニック渋谷神泉では、眠っているような感覚になる静脈内鎮静と併用して治療を行う際に、鎮痛剤や抗生剤、ビタミン剤の点滴薬も豊富にご用意しております。
静脈内投与では、薬が直接血液中に入り、 例えば100mgの薬を静脈内に投与した場合、100mg全量が血液中に入って全身に運ばれます。 一方、経口投与の場合は、100mgの薬を投与しても、100mg全量が全身に運ばれるわけではありません。経口投与された薬は全身に届く前に肝臓を通過し、その過程で薬の一部が代謝され、効果を引き起こす有効成分が効力を失います。 これを初回通過効果と言います。
このように静脈内投与は親知らず抜歯後の痛みを抑えるためにも有効な手段といえます。～眠れる森の歯科～Dr.Lデンタルクリニック渋谷神泉では点滴室も完備しているため、親知らず抜歯後の痛みの緩和や治癒促進のために点滴のみのご来院も承っております。
親知らずの抜歯は、健康な歯並びや口腔環境を保つために重要な治療です。特に、むし歯や周囲の歯茎への影響が懸念される場合、早めの対応が良いでしょう。抜歯の方法やリスクについて事前に理解し、適切なタイミングで歯科医師に相談することが大切です。さらに、痛みをできる限り抑えるための麻酔法も選択肢として存在し、抜歯への不安を軽減できる可能性があります。
渋谷駅周辺で親知らず抜歯に関するお悩みをお持ちの場合は、～眠れる森の歯科～Dr.Lデンタルクリニック渋谷神泉にご相談ください。
監修：～眠れる森の歯科～Dr.Lデンタルクリニック渋谷神泉
院長 鈴木麟太郎 Lintaro Suzuki
【学会・所属団体】
日本口腔インプラント学会
日本審美歯科学会
日本歯科麻酔科学会
点滴療法研究会
高濃度ビタミンC認定医