妊娠中はホルモンバランスの変化や免疫力の低下により、口の中のトラブルが起こりやすい時期です。とくに、親知らずの痛みや腫れに悩まされる方は少なくありません。「このまま放っておいて大丈夫?」「抜歯しても赤ちゃんに影響はない?」と不安になることもあるかと思います。妊娠中の治療には注意が必要ですが、放置することで炎症が悪化したり、全身の健康にも影響が及ぶこともあります。今回は、妊娠中に親知らずが痛くなったときの対処法や、抜歯を検討する際のタイミング、処置によるリスクとその対策について解説します。
1. 妊娠中に親知らずが痛くなったらどうする?
妊娠中に親知らずの痛みや腫れを感じた場合、まず大切なのは自己判断で対処せずに、歯医者を受診しましょう。症状の程度や時期によって対応が異なるため、歯科医師と相談しながら適切な処置を受けることが大切です。
①まずは歯医者での診察を
妊娠中の体調や胎児への影響を考慮しながら、適切な診断と処置を歯医者で受けましょう。レントゲンや処置についても、妊娠週数によっては対応できる内容が異なる場合があります。
➁症状が軽い場合は、洗口や抗菌薬で様子を見ることも
炎症や痛みが比較的軽度であれば、洗口液の使用や、妊娠中でも使える抗菌薬で対応する場合があります。市販の鎮痛薬を自己判断で使用するのは避け、必ず歯科医師の指示を受けるようにしましょう。
➂強い痛みや腫れがある場合は抜歯を検討することも
痛みが強く、炎症が広がっている場合は、妊娠中であっても抜歯を検討することがあります。とくに、発熱を伴うような感染症の症状がある場合には、母体と胎児両方へのリスクを避けるために、適切な処置が必要になる場合があります。
④応急処置で一時的に痛みを和らげることも
妊娠中の身体に配慮しながら、親知らずの周囲を洗浄したり、消毒したりすることで、一時的に痛みをやわらげる処置を行うケースもあります。どうしても抜歯を避けたいタイミングの場合などに一時的な対応として選ばれることがあります。
⑤定期的な口腔内のチェックが予防に
妊娠前や妊娠初期に親知らずの状態を確認し、必要であれば早めに対応しておくことで、妊娠中のリスクへの備えがしやすくなります。
妊娠中の親知らずの痛みは、無理に我慢せず、母体と胎児の健康のためにも、歯科医師に相談しながら適切に対応してきましょう。
2. 妊娠中の抜歯のタイミングとは
妊娠中に親知らずの抜歯を行うかどうかは、症状の緊急性だけでなく、妊娠週数によっても大きく判断が分かれます。たとえ抜歯が必要と診断された場合でも、妊娠の時期によっては処置を見送ることが検討されるケースもあります。
①抜歯は安定期に推奨される
妊娠中に抜歯を行う場合、多くのケースでは妊娠中期(おおよそ16〜27週)を検討されることが多いです。この時期は、胎児の成長が安定しており、母体の全身状態も比較的落ち着いているため、処置を行いやすい時期と考えられています。
➁妊娠初期と後期は避けることが多い
妊娠初期(〜15週頃)は胎児の器官形成が進む重要な時期であり、不要な処置はできるだけ避けられます。また妊娠後期(28週以降)になると、母体の姿勢によって子宮が圧迫されたり、処置中に体調が変化しやすくなるため、慎重に検討されます。
➂緊急性が高い場合は時期を問わず実施されることも
炎症が強く、感染が進行しているようなケースでは、妊娠週数に関わらず、抜歯を行うことがあります。歯医者と産婦人科医が連携し、必要性とリスクを総合的に判断したうえで、対応が検討されます。
④通院しやすい体調やスケジュールも考慮する
母体の体調や妊婦健診のスケジュール、産婦人科との連携体制なども考慮して、抜歯の時期が検討されます。自身の体調の変化に合わせて、無理のない時期を相談することが大切です。
⑤可能であれば妊娠前の処置が望ましい
親知らずの状態によっては、妊娠前にあらかじめ抜歯しておくことが望ましい場合もあります。将来的な妊娠を考えている方は、定期的な歯科検診で親知らずの状態を確認しておくと、妊娠中のトラブルを回避するやめの判断材料になります。
妊娠中の抜歯は、その必要性とタイミングを慎重に見極めながら進めていくことが大切です。少しでも気になる症状があれば、早めに歯医者に相談しましょう。
3. 親知らずの処置が胎児に与えるリスクと対策
妊娠中に親知らずの痛みが強くなると、治療や投薬が必要になることがあります。治療による影響を最小限にとどめるためには、使用できる薬剤や処置の内容について正しく理解し、歯科医師の判断のもとで進めていく必要があります。
①使用できる薬は限られている
妊娠中は、胎児への影響を考慮して、使用できる薬が限られています。たとえば、痛み止めとして一般的に使われるロキソプロフェンやイブプロフェンは妊娠後期に避けた方が良いとされています。一方、アセトアミノフェンは胎児への影響が少ないとされており、医師の判断のもとで使われることがあります。ただし、いずれの薬も自己判断では使用せず、必ず歯医者や産婦人科で相談した上で処方を受けることが大切です。
➁抗菌薬にも注意が必要なことも
親知らずの炎症が強い場合には、抗菌薬が処方されることもあります。妊娠中でも使用が認められている抗菌薬はありますが、体質や妊娠の時期に応じた判断が必要です。処方時には、歯医者と産婦人科で連携をとって薬の選択が行われます。
➂レントゲン撮影は配慮のもとで行われる
歯の状態を把握するために、レントゲン撮影が必要になることがあります。歯科用のレントゲンは口腔内に限った範囲で行われるため、照射の影響は限られています。撮影時には防護エプロンなどの対策も講じられ、胎児への負担が少なくなるよう配慮されます。
④局所麻酔は使用できる場合がある
抜歯などの処置には、局所麻酔を使うことがあります。局所麻酔の種類や量は、母体の状態や処置の内容を考慮しながら慎重に選ばれます。
⑤痛みを我慢しすぎることも避けるべき
痛みを長期間我慢すると、ストレスや睡眠不足、食欲低下などを招き、母体の健康に影響が出る可能性があります。それが結果的に胎児の状態にも影響を及ぼすことがあるため、気になる症状がある場合は無理をせず歯医者に相談しましょう。
妊娠中の処置では、母体と胎児の健康状態を第一に考えながら、状況に応じて適切な対応が取られます。必要に応じて産婦人科と連携し、処置が進められます。
4.渋谷 神泉の歯医者 ~眠れる森の歯科~ Dr.Lデンタルクリニック の親知らず抜歯
渋谷 神泉の歯医者 ~眠れる森の歯科~ Dr.Lデンタルクリニックでは、患者さんの不安を和らげるために、局所麻酔、静脈内鎮静法などの様々な麻酔法をご用意しています。
静脈内鎮静法は、スヤスヤと眠っているようなリラックスした状態で治療を受けられるため、歯科恐怖症の方や、長時間の治療が必要な方におすすめです。
親知らずの抜歯も、様々な麻酔法を活用し痛みや不安を軽減する治療を行っています。
難易度の高い親知らずの抜歯や複数本の抜歯も対応可能で、静脈内鎮静法を併用することで、リラックスした状態で治療を進めることができます。
また、静脈内鎮静法などを活用し一度の治療で複数箇所の治療を進める短期集中治療も行っています。
仕事や育児が忙しい方、海外からの一時帰国の方、通院回数を減らしたい方にとって効率的な治療プランを提案しています。
まとめ
妊娠中に親知らずが痛くなった場合は、無理をせず早めに歯医者に相談することが大切です。症状や妊娠週数に応じて、抜歯や薬の使用が必要になる場合もありますが、いずれも母体と胎児への影響に配慮した対応が取られます。妊娠前から親知らずの状態を確認しておくことで、妊娠中のトラブルを予防しやすくなるでしょう。渋谷神泉周辺で親知らずの痛みや抜歯にお悩みの方は、~眠れる森の歯科~ Dr.Lデンタルクリニックまでお問い合わせください。
監修:~眠れる森の歯科~Dr.Lデンタルクリニック渋谷神泉
院長 鈴木麟太郎 Lintaro Suzuki
【学会・所属団体】
日本口腔インプラント学会
日本審美歯科学会
日本歯科麻酔科学会
点滴療法研究会
高濃度ビタミンC認定医